アマガエルの大合笑

更新速度:ポルシェよりはるかに遅い ぴろよによるお笑いブログ ライブ多め

翔ミラクルバラエティー 2018-04-30-059

ああ大阪

公私ともに何度目の来阪か。150回はくだらないと思う。「私」は「私」で100%楽しむが「公」の場合「私」の割合が変わることはあっても0になることはない。今回は公私5:5くらいの割合でちょうどよし。
今回大阪で改めて思ったこと
■お笑い劇場周辺泊の便利さ
⇒なんばというか千日前というか漫才劇場の周辺に宿泊するのは初。ミナミエリアにはよく宿泊していたが思い切ってよしもと漫才劇場(及びなんばグランド花月)から徒歩2分のところに泊まったら便利便利。梅田で打ち合わせがあろうが北浜や福島で美味しいものを食べたかろうが、結局お笑いをほぼ必ず見る私にとってライブ前後にちょっと荷物を置きに行けたりする「劇場周辺泊」。「私」の割合が4割を超える際必須で選ぼう。
■カヌレがユニーク

⇒大阪・神戸特有のこういうトッピング。トッピングという発想が他地域にない。最近好きなのはダニエル・カヌレ堂。ここのは、忘れた。デパートで期間限定で売っていたが谷六の店らしい。
■路面店があった

■コウテイのわかりにくさ
⇒このライブの最大の目的はなかなか東京でお目にかかれないコウテイ。その他では「すごく面白い」がもうひとひねりあれば「すごいネタ」を披露したヒガシ逢ウサカ、たっぷりと間を取り数多くないボケでしっかり笑わせたさや香が印象に残ったが、今回のブログはほぼコウテイのことだけ。


「わかりやすくあれ」ハラスメント

コウテイというコンビ。M-1グランプリ2016・2017の3回戦・準々決勝動画で存在を確認*1。ベタな設定にファンタジーな視点を絡ませた「決して王道ではない」漫才という印象。大阪のよしもと若手にこういうコンビがたまにいるのを見かけると言ったところ。生で観たのは今年2018年が初めてだ。
その後、大阪若手のバトルライブで優勝もしているくらいの実力・人気を兼ね備えていること、漫才で知ったがコントにも力を入れていること、2度解散・再結成を繰り返しているらしいこと、不仲であること等の情報は入ってきた。私はまだ生で彼らの漫才を観たことがない。

コウテイの漫才は「少し変わっている」と評されることも多いだろう。ファンタジーな視点もさることながら、なぜそこで?ツッコみたくなるタイミングで奇妙な表情を見せたり奇声を発したりする。逆にコントは九条(背が高い方・ネタを作っている方)の発想力と下田(九条じゃない方)の表現力に頼っているところはあれどそこまで奇抜さは感じないといった印象。私はこれからにとても期待しているが上に余計なことまで考えてしまう。その余計なこととは「わかりにくい」という声の邪魔くささと弊害だ。

個人の好みを度外視すると、より単純で共感を得やすい設定によって人はその笑いを支持しやすくなる傾向がある。単純すぎる設定だと笑い自体が起こらないがとにかく「ありえない!」という感覚より「あるある・・・あるかも!」という笑いの方が大人数の支持を得やすい。
例えばドライブの設定。乗っていた車が急にタイムマシーンになったりいきなりボディーが延びて変な形のリムジンになるよりも、楽しいはずのドライブで彼氏が彼女の運転にイチイチケチをつけていたり海に向かう車中で既に水着に着替え浮き輪を身に付けているという方が人の頭にすんなり入ってきやすいということだ。私は大人数に支持されやすい笑いが優れていると言っているわけではない。「ズレ」ていてもそこに「共感」があると人をネタに引き込みやすい、というだけの話だ。「ありえない!」と「あるある・・・あるかも!」のどちらの笑いが優れているという比較は絶対に出来ない。お笑いという芸能において「面白い」は絶対的に正義であると思うがそれは決して「多くの人に支持されている」とイコールになるわけではないからだ。
ただ昨今こういう「わかりにくい」笑いに出会った時に「わからない」と切り捨てるのならまだしも自分が理解出来ない嫌悪感からか「もっとわかりやすくしろ!」などと狂ったことを言う輩は後を絶たない。売れる≒より多くの人数に受け入れられる≒わかりやすいという式が頭に浮かぶのはわかるが、さて果たして売れるためにわかりやすくするというのは正解なのだろうか。
「売れる」が本分になった時、「わかりやすさ」は非常に正解に近い手法なのかもしれない。しかしその「売れる」の定義が金/人からの注目*2という軸と短期的/長期的という軸の掛け算なので単純なことは言えない。加えて芸人としての方向性の主軸を「自分達が面白いと思ったことをより多くの人数に届けたい」に置いた時、本当に「わかりやすさ」に傾倒していいものかどうか本来ならば大いに迷っていいところなのだ。 迷うという言葉を使ったのは「売れない」のきつさにある。いくら自分達を面白いと信じ、ごく一部の身内や熱狂的なファンに認められたところで生活のための金は入ってこない。舞台に立って何かを披露するときに一切の賛同や賞賛なしに舞台に立ち続けられる、クリエイトのみに喜びを感じられる芸人の数もそう多くはないだろう。
さらに、デビューしたての頃は「わかりにくい」の烙印を押されがちであったが大きく芸風を変えることをせずに見事「売れた」千鳥・野性爆弾等々の現在の活躍に勇気をもらっていただきたいというのもある。
もう一度繰り返すが「この笑いを理解出来ない」と心の内でそっと思うに留まらず「もっとわかりやすくしろ!」と声高に叫ぶ方々はこれらの事情をよく加味しているのだろうか。していての主張であるならもう話すことはないが、うん、加味していなら少し黙っていると良いと思う。「わかりにくい」と感じるのは勝手だが「わかりやすくあれ!」と強要するのは嫌がらせである。昨今の時流にのれば「わかりやすくあれ!ハラスメント」(わかハラ)である。ちなみにハラスメントは嫌がらせなどという生ぬるい表現では事足りないくらいの苦痛・トラウマを相手に与える行為だということも合わせてお伝えしておきたい。ここまで言っておいて非常に難しいのだがこれ、芸人に気を使って言葉を慎めと言ってはいない。「わかりにくいからダメ」の烙印を簡単に押してほしくないのである。もう少し尊重すべき個性と修正すべき要素の再考が必要なのではという話である。


コウテイはこの「わかハラ」を受ける可能性が多少はあると見ている。先人たちと比較して突拍子もないまでは言わないがやはり挙動や視点から一風変わった、ちょっとわかりにくい・・・と言われてしまいそうなことは容易に想像つく。コウテイもまた、今すぐ売れることと自分達の芸風を貫くことで多少なのか大分なのかわからないがジレンマを抱えることであろう。私が割と「わかハラ」を受けていそうな芸人をコウテイ以外にも応援していることもあってここまでの筆圧の高さになってしまった。失礼。

コウテイのわかりにくさオマケ

コウテイについて思っていることをもう少し。私は瞬間的にピンポイントで特定の芸人に着目することはあっても、基本は幅広く色々な芸人を見たいと思っている。さらにお笑いに関する情報源チェックの優先順位は ライブ>twitter>ラジオ>テレビ>動画>画像。テレビ以下動画と画像に至ってはよほど話題のものがない限りチェックをすることがない。自身のこの性質により見落としていたものがある。九条の外見の美しさである。細身で長身。画像を添付することなく言葉だけで伝えようと思うが、誤解を恐れずに言うと岡田将生に近い顔面と見ている。平成後期のモデルや俳優に多い顔という表現がしっくり来る気がする。大体「平成後期のモデルや俳優に多い顔」というやつ自体、好き嫌いを産みだしやすい上、彼はその髪型・衣裳・挙動等々セルフプロデュース出来る全ての要素により外見の美しさをよりわかりにくくしている。わざとメイクダウンしているのかどうかは定かではないが芸人における外見の美醜は色々な物議を醸し出しそうであることは私ですら重々承知しているのでなんらかの考えはあるのであろう。私は人前に立つ人が美しいことに引け目を感じることはないし、醜い外見を笑いに変えられるパワーが大好きだという持論。まあいずれにせよ九条が自分の美しさを活かそうと思う前に笑いの才能を活かそうと思ったことには素直に感謝して良いような気がする。

なるほど、コウテイわかりにくい。
そして、コウテイは本当に面白い。
そのわかりにくさとどう対峙していくのか、彼らに完全に託すがまあコウテイは売れる。いつの日かわからないが、また不仲で解散しない限り売れる。面白い芸人は必ず売れるのだ。




ネタ等

ちからこぶ:好き愛しているの素敵な言葉
コウテイ:レイカお嬢様

もう少しストーリーがあったら・・・

kento fukaya:world English
ヒガシ逢ウサカ:転校生今井君

普通にとても面白い。なぜ今井君があのような行動をしたのか等もう少しストーリーがあったらものすごいコントだったと思う。ストーリーストーリーうるさいかもしれないが、起承転結がしっかりあるコントが好きなのだ。漫才に関して賞レース上位のものが絶対とは思わないが、コントに関しては割とキングオブコントで評価されやすいストーリーモノ(対になるのは設定勝負モノかと)を好む。大阪のコントは奇抜な設定や発想のみで勝負しているものが多いように感じる。その設定や発想がすごいので良し悪しはなんとも言えないが好みから考えるとやや物足りない。

ネイビーズアフロ:歌詞

客がおいていかれそうな言葉遊びのネタを得意とするのにきちんと笑いを取っているのがすごい。もしかしたらおいていかれているのか?今後もっと見て行きたい。

コーナー:あるあるヒントクイズ
コーナー:翔!鬼あら芸パレード!
ダブルヒガシ:デパートのエレベーター
なにわスワンキーズ:カラオケ店員
マユリカ:CA
さや香:幸せってなんなんかな?

M-1決勝経験者でかなりの若手なのにこんなに間を恐れないネタもあるのか・・・と少し感動した。

コーナー:1曲まるまる替え歌バトル
コーナー:翔!鬼あら芸パレード!
フースーヤ:お父さん
ビスケットブラザーズ:ジム
ゆりやんレトリィバァ:世界に発信するネタ
霜降り明星:海外行ったことない
コーナー:ファンキーギャグナイト

翔ミラクルバラエティー
日時:2018/4/30(月・祝) 20:00~ 130分
場所:よしもと漫才劇場(難波)
料金:前売:1500円  当日:1800円

*1:2015年も3回戦まで進出しているらしい

*2:たまたま翌日に行われたライブでもこの話になった