アマガエルの大合笑

更新速度:ポルシェよりはるかに遅い ぴろよによるお笑いブログ ライブ多め

バカライブ 2018-06-04-077

芸人のTV出演

舞台の上、生、ライブ・・・で活躍している芸人がそのまま画面の中で活躍出来るとは限らない。普段少し特別な感情を持って舞台上の彼らを見上げている、というような存在の芸人がTV出演というのはある種の緊張を伴う。舞台の上、生、ライブ・・・の力が存分に発揮出来ていないという肩透かしのような裏切られたような歯がゆいような、そのどれとも違うような残念な気持ちを何度も味わってきたからだ。その点、今一番安心してTV出演を心待ちに出来る*1のは、神田松之丞である。6月22日(金)にフジテレビ系で放映されたダウンタウンなうでの活躍は言うまでもなくパーフェクトだったし、笑点やENGEIグランドスラムでも彼の良い部分のプレゼンテーションとしては満点だったのではないだろうか。私が彼を知ってからということになるのでそれ以前は知らないが、某情報系番組では「あれ?もしかしてすべ・・・いや、かみ合ってない?」とこちらをドキドキさせるようなこともあった。しかし本人の佇まいがそんな悪い空気どこ吹く風とドッシリ構えていらっしゃるので、とにかく安心なのだ。メジャー向きという芸風とか人格ってあるのかもしれない。


私が様をつけて呼ぶ芸人は松之丞ともう1組だけだ。様のあとに♡がつく感じでもない。説明が面倒なのであまり人前では言わないようにしていたしtwitterなんかで呟く予定はなかったのに。酔っぱらっていた。まあいい。それくらい安心のダウンタウンなうだったということだ。
TV出演をきっかけに、熱心なファンの方々がTVで初めて松之丞を見た(そしてなんらかの感慨を得た)人向けに情報を流したりしてtwitterが少し賑やかになっている。見ていて安心な芸人がTV出演した時の一番望ましいタイプの風物詩だ。私も何か見つけてみようかなと思ったらこんなものが。

www.asahiculture.jp

これは行こうというのと仕事の幅が広いというのが本当に羨ましい。
さてこれから本文。もう松之丞は一回も出てこない。

バカ尽くし

バカライブの会場から徒歩45歩程度離れた会場でのバカ爆走からハシゴ。バカ尽くしで気持ちの良い日。
当のこちらのライブ、梅エースが主催で何度か開催されているが毎度毎度超満員(?)の豪華なライブ。
とにかく出演者が多いのと、多いのに「なんだか少し変な模様」という雰囲気をプンプンに醸し出す。私にその自覚はなかったし今でも若干モノ申したい気分もあるにはあるのだが、大学時代の後輩が私の笑いの趣味(漫才やコントに限定されていると思うが)を取り上げて「昔からいわゆる王道はあまり見ない気がする」と称したりする。そしてバカライブ、私好みの出演者が多い。そういうことなのだろうと思う。
写真撮影に若干制限があった((撮ってもいい。ネットに上げちゃダメ)されていたのは事務所に内緒で出演している芸人もチラホラいるから。
内緒の芸人ほど特筆すべき記憶があったりもするが、それをごまかしながら書くのであればストレッチーズがコント・ランジャタイ・ぽんぽこあたりがとても印象に残っている。それと牛女・佐野がネタ中足の指に異様に力を入れていたのが妙に頭に残っている。そう最前列だったのだ。圧倒されすぎる。この日考えたのが、大喜利の強さとネタの面白さは切っても切れないようで別モノなのだなということ。


*1:さらに注をつけるならば私が今特別な感情を持って見上げている数十組の芸人の中で

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日本で唯一の

FB掲載記事転載

若干加筆しておりますが以下の感じ。告知も含んでおりますので気軽にお読みいただければと。


千川びーちぶという知る人ぞ知るお笑いの聖地があります。ピンと来ない方は、バイきんぐ・ハリウッドザコシショウ・アキラ100%等のキーワードでピンと来ていただくかそれらを絡めて調べていただくといいかもしれません。

そんな聖地で開催されるトークライブのゲストにお呼ばれされたのが7月6日(金)というわけです。

主催者でかつ出演者でかつ私なんぞに声をかけてくださった方は「びーちぶなんて誰でも立てる」「そんな大げさな」と興奮を隠しきれない私に対称的な態度を取ることでその場をおさめてくれようとしたとっても大人の方です。年齢あまり変わりませんが。
そして興奮のままこんなことを言っています。
「あたし、日本で唯一びーちぶに立った研修講師になりますね」

嘘か本当かわかりませんが80%位本当だと思います。
主催者でかつ出演者でかつ私なんぞを誘ってくださったとっても大人の方は「え、どうだろう」って鼻で笑っていたことも付け加えておきます。

今後『日本で唯一』『日本一』の冠をより多く戴冠するべく、世の中を色々な角度で眺め色々な経験をし色々なこじつけをしていけますよう精進する次第です。

なかなかライブの詳細を書かないのは、こんな大げさに書いておきながら予定集客サイズがとてもコンパクトなので皆さんのご予約を受け付けられるかどうか不明なためです。

普段こんな言い方絶対しないのですが「お時間ありましたら是非」ですし、【日本で唯一】のイメージだけでも憶えて帰ってください、です。

~・~・~・『ライブ詳細』~・~・~・~・~・
トークライブ:語りて聴きて その2
会場:千川びーちぶ
日時:7/6(金)19:15開場19:30開演(終演22:05予定)
料金:¥2000
※お飲物持参の上ご来場下さい

出演:ロビンフット おぐ/アポロ奥村/パンダユナイテッド/きしたかの/ちぐはぐ/パリのくまさん/キラキラ関係/おいらとますきん ひばり/松本ぴろよ/うどん部長

飲みながら移動しながら見られるトークライブです☆
ご予約は私、または他の出演者の方までご連絡くださいませ。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

THE楽しみ

バカ爆走 コントの日 2018-06-04-076

イライラと蔑みの合間に

世間の広さは人それぞれ。広けりゃいいってもんじゃないけれど世界が狭い人が気を付けた方がいいのが「自分の許容量(ないし器)が小さいことを自覚していない上に他人にその狭い世界の価値観を押し付けるのは最悪」ということだ。なんだか最近その「狭い世界」とやらに留まっているのなら一向に構わないのだけれども明らかに目障りな言動をしてくる輩が多く、それを無視出来ない自分に嫌気が差している。と、そんなことを考えてたがこれからの記事にはあまり関係ない。

それでも募金は超えない・・・が

卯月の新作が見たくて足を運んでいるが1月の単独後あまり新作をやらなくなったので少し足が遠のいていたライブ。
そろそろかな、と思っていたら新作にあたった。卯月には「募金」という私の中で最高の名作があって----どう最高かというと設定・演技力・ストーリー展開の3拍子が高水準できちんと揃っているところなのだ---だからこそ以降どのコントを見ても「面白い。それでも募金は超えない・・・」と期待100%から出るセリフなのだが聞くタイミングやテンションによってはいちゃもんとも取れる感想を常々口にしてきた。ごめんなさいね、なんかいろんな人。今回見た「路地裏でー私は酒井尚史」も「面白い。それでも募金は超えない」がとてもアリだった。改めて卯月の引き出しの多さ、それに伴い隠しても滲み出てしまうポテンシャルと可能性を感じられた。BGMの使い方、彼らの才能の一つかもしれない。
しんぷる内藤・吉住の安定でハイレベルのピン芸にとても満足し、バイオニがなぜ世に広く出ないのかと頭を抱えつつ腹も抱えて笑いながら、ゲストのわらふぢなるおにはじわじわと感動、ってな総評。わらふぢなるおは同じお約束を繰り返すだけのコントかと思いきや、言葉のチョイスと間と演技で深い笑いにもっていく。さすがファイナリスト。最後の照明の使い方まで見事。

徒歩45歩程度離れたバティオスで別ライブがあるので最後の即興コーナーを全て見ることなく退散


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喋喋喋るvol.112 ゲスト:宮下草薙 2018-03-01-034

すっかり梅雨めいている6月東京ですが・・・

ジャニーズに対する鬱憤が爆発している誰がいるのかしらという他人事みたいな感想を持ちつつ
さて北朝鮮はどうなっていくのかしら。これで平和なんて言っていいのかしらアレハパフォーマンスカシラ・・・

なんて感情を持つことをさらさら予想もしていなかった3月のライブのことを今から書く。
冗談手帖という番組に宮下草薙が出た(そして非常に面白かったし色々考えてしまった)ことと
「こいつ、笑いの才能がない草薙みたいなやつだな」という輩・・・要するにとてもつまらない上にひねくれていて楽しくもないヤツ。草薙の才能には目を見張っているのにこういう例えに使うのは非常に忍びないが・・・と対峙したタイミングがばっちり合ったことがきっかけだ。


宮下草薙というコンビ

結成3年目の若手コンビ。少しフリーで活動していたが太田プロに所属した漫才師。

※新道画伯作:宮下草薙
コンビ結成間もない頃から馬鹿よ貴方はの新道辰巳が熱心に推していたこともあってネタを見る機会にたまたま遭遇出来たし、推されるだけあって面白いななんてとぼけた感想も持っていた。昨年あたりからあれよあれよと露出が増えライブには行かないお笑いファンにも知られるようになった。

とはいえこの日のトークライブの客は10名ほど。んー話題ってTV出演って売れるって・・・。
覚えているトーク内容は以下。☆印は冗談手帖内では話していなかったこと。
草薙がお笑いをはじめたきっかけのコンビははんにゃ
☆草薙の遅刻の言い訳が「グラブルやってた」というエピソードから「ちゃんと見ないと何もしないから管理するようにしている」(宮下)「もうめちゃくちゃイヤなんだけど管理するために宮下が近所に引っ越してくる」(草薙)
☆養成所の自己紹介で泥酔していたのは「さあ入学って決めたけど駅に降りた時もうすごく帰りたくなっちゃって、どうしよう、酒でも飲んだら気が大きくなるかなって飲んで入学式に出た」(草薙)
☆「すぐにそうやって俺らのことを分析する新道さんは好きじゃない。気持ち悪い」と本人を目の前にして(草薙)
初のトークライブとは思えない堂々たる姿。でも椅子があるのに落ち着かなくて立ってる。MCの新道が立っているのはまだしも「緊張で椅子に座れない草薙」というのはなんらかの印象深い特徴として私の頭にこびりついている。

ライブが終わり客もはけようとした際、草薙が袖から顔を出し急にしっかりとした口調と笑顔で「ありがとうございました」と言ったこともきちんと書いておきたい。人前に立つ出役としての自覚があるんだなという感心と同時にやはり挙動が突拍子もなくつかみどころのない人間だなという戸惑いが沸いてなかなか印象的だったのだ。ま、草薙は本当の「天才」なんだろうということでその感情に折り合いをつけている。

ニュータイプ珍獣使い

草薙はもしかしたら誰が嫌いとかではなくストレスがたまっているということを臆面なく表に出せる人なのかもしれない。で、間違いなく言えるのが天性のお笑いの才能が彼に備わっているということ。それをうまく自分で扱えていないのか扱えていないフリをしているのか私程度の人間にはわかり得るはずもない。
トークライブでというよりTVを見て色々考えさせられたのが宮下。
元ピン芸人だし清潔感のある見た目だしトーク担当だし、前に出ようと思えば出られるのに「じゃない方芸人」として宮下をタテる覚悟を感じる。
割と損な役回りを買って出ている気がする。相方の近くに住んでダメ出しして、相方にうんざりされ、お前は嫌だと言われ・・・(どこまで嘘か本当かわからないけどね)
まあ人前で多少の演出はあるかもしれないが、普通何も期待していなかったらそこまでダメ出しは続けない。ブラック企業のパワハラ上司だって、ストレスに任せて部下を怒鳴り散らすけど、なんとなく自分が気持ち悪いから部下のことを思いついたようにおだてるし、所詮指導のいう名のストレスのはけ口なので会社内で完結して家に持ち込むことはない(部下はストレスを四六時中抱えることになるけどね)。
宮下は決して飴を与えずに草薙に嫌われようが何しようがダメ出しを続ける。近所に引っ越してまでというところがすごい。
これを執着のある相方と片づけてよいのだろうか。草薙に愛はあるかどうかまではちょっとまだわからないが、少なくとも草薙の才能を信じて一緒に売れることも信じてやっていく覚悟をした芸人という風に私の目には映っている。

なんかいいなこの二人。あまり見たことがないタイプ。
珍獣使いで思い浮かぶのがオードリー若林・南海キャンディーズ山里・ゆにばーす川瀬名人あたりなのだが、彼らはいずれも相方もコンビの方向性もプロデュースしつつネタも自分で作る。宮下は多分自分がネタを作れてもネタ作りを草薙に一任しているという感じがする*1。そこがなんとも言えず新しい。
なんか本当にいいな。まず相方の才能を認めているというのがとてもいい。仲が悪いといったところでそれはあくまで見た目の話。それを寄せられている草薙はもしかしたらたまったもんじゃないかもしれないが「信頼」を感じる。「お前を信頼しているから言うんだぞ」という安っぽい責任逃れや「あの人は自分を信頼してくれているから叱ってくれるんだ」というただのストレスを逃れるために自分に言い聞かせるのとは違う「信頼」。宮下は覚悟を持ってダメ出しをしているし、草薙はそれに対するストレスをきちんと表面化する。宮下草薙の関係を「仲が悪い」とメディア的には表現したいのかもしれないが、この仲の悪さにはワクワクする未来しか感じられない。最近人に不信感を抱かざるを得ないような生活を送っている自分がみじめになってくる。馴れ合いじゃない信頼。才能に対する信頼。何度でも言ってしまうがいいな、宮下草薙。
あまりに「いい」を連発しているので敢えて触れておくが冗談手帖内のリズムネタはひどかった。ひどすぎて面白いという結局ポジティブな印象を持つことになっているんだけどね。そして冗談手帖内で過去リズムネタのお題を振られたのは過去にAマッソ・こゝろ・真空ジェシカ・・・いずれも普段リズムネタをやらなそうというわかりやすい共通点以外に認めざるを得ない「才能」や「期待」を感じるコンビが多いことも特徴な気もしている。まあ冗談手帖という番組自体、「才能」や「期待」がある芸人が呼ばれているので私の主観が強いが宮下草薙も例に違わないし、同じような感覚を鈴木おさむも持っていたら嬉しい。持っていなかったとしてもリズムネタが振られたコンビは結局深い印象を残している。冗談手帖でリズムネタ、芸人は苦労するだろうが苦労した分の爪痕は十分残せるいいテーマだと個人的には思っている。(割と賛同を得られる気もしている)
さておき、この宮下草薙をはじめキュウ・まんじゅう大帝国あたりがM-1グランプリ2018をざわつかせるダークホースの筆頭になりそうだと今のところ踏んでいる。個人的にはランジャタイ・Aマッソあたりにひっかきまわしてもらいたいのだが、なんと言ったらいいのだろう。客席からライブを見ていて感じる圧倒感やオーラからなんとなくぼんやりとこんなことを書きたくなる気持ちにさせるのである。
色々と楽しみしかない二人のことをM-1にまで思いを馳せるくらい一晩考えていた。良い夜だった

*1:2018年6月14日現在未確認の情報。きちんと確認したら追記予定

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オーシャン座 2018-06-10-079-080

新参のくせに・・・という揶揄がある。
ファンや贔屓をその年季によって新参と古参にわける悪習からだ。
肩身が狭くてなんとなくコソコソしたり、新参を揶揄する古参とやらに文句を言ってみたりと色々な経験もしたけれども、新参に利もある。
とにかく新参は乾いたスポンジのごとく知識や経験を水のようにドンドン喜んで吸収していくし、その「知らない」「見たことない」を求めてフットワークが軽い。


私が神田松之丞を認識したのが2017年10月9日。新参期間が体感的に長い気もしないでもないが(かと言ってどの分野でも古参になんか絶対なりたくないのでいいのだが)、今追いかけたいのは東京の若手漫才師・コント師(それに付随するピン芸人。事務所所属が多い)だったりするので、松之丞に対する温度と密度を低くしなければならない関係上まあそれもよしとしよう。
日付まではっきり覚えているのは飲み屋で知り合って以来懇意にしている知り合いが主催している落語会ということと、その日の落語会は昼に行く*1と約束していたのにすっかり忘れ、夜に別の予定があったにも関わらず詫びの菓子折りを持って向かったという自分の不義理とダラシなさが露呈する印象的なエピソード付だったからだ。
本当に顔を出すだけで帰るつもりだったが「神田松之丞さんだけは観ていってください」の知人の言葉を信じた。結果ギリギリだがその後の予定*2にも間に合ったし、結果今まんまと松之丞を追いかけることになっている。松之丞が公言している使命が「講談を広める」なので*3、そのほんのちいさな一点になれたので本望だ。


心理学の用語でカラーバスという言葉がある。ある色を意識すると町中でその色ばかりが気になる、転じて気になる情報はどんどん入ってくるようになると言ったところだ。ポジティブな人はカラーバスを「引き寄せ」という言葉で理解している可能性が高い。私はそもそもその「引き寄せ」という単語が持つ「うさん臭さ」にかなり抵抗があるので、10月の前*4にも既にその落語会に松之丞がゲスト出演していたことも知らず、熱心に聞いているTBSラジオで「問わず語りの松之丞」の一節がCMで延々と流れていたのにも拘わらず完全に無視を決め込む*5という「現時点で興味のないことは全く体に入ってこない」という反証でカラーバスを理解することになっている。今後修正するつもりはないのだが、私は一つのことにどっぷりと集中出来ないしそこそこ多方面に興味があるし、で何か人生で大事なものを見落としている可能性は高い。それもまた人生。

とにかくだ。鴨川にきた。

鴨川ヒルズリゾートホテル内の宴会場で行われる初の試みらしい。
まず後列にキャップとポロシャツという似たようなそして気が抜けた町ではよく見かける(父もたまにそんな格好をしていることもある)しかしこういう会ではかなり独特な身なりをした70代くらいの男性が5名前後いたのがとても印象的。人数が集まらなくて急きょ集められた地元の人だろう。誰かや何かを見に来たのではなく、なんとなくいつもの集まりでなんとなく楽しそうなことをやるから来てみたという感じである。何かに期待していない。実家が商売をやっているので「商工会の集まり」みたいな言葉になじみがるのだが、多分彼らもそんなノリでここに来ている。今一番チケットの取りにくい講談師をゆったり椅子を並べてもびっしりと詰めれば100-150人は入りそうな宴会場で、さらにゆったり椅子を並べて50人弱で見た、とそんな感じである。
出演者や開催者側からしたら好ましいとはいいがたい状況かもしれないが、私はそのレア感にワクワクしていた。
50人という人数規模も、寄席出演を続ける松之丞ならまだ当分見られる光景だと思うし、興味がないがなんとなくそこにいる人が松之丞の観客になることもまだまだあるだろう。ただしこのコンボ・コラボ、組み合わさった状態はこの先も大分レアなのではないかと思うのである。来てみるもんだ、地方公演。と言ってもここは首都圏。

ボクサーの道もあったかもしれない三遊亭金の助(20分)、ウクレレ漫談30分もあっという間のぴろき(30分)、500席くらいの会場かと思っていたと嘯く松之丞(40分)の綺麗な90分構成。120分のお達しがあったので特に2部の客は少し戸惑っていた様子。

私は芸人じゃないけれども人前で話すという立場であることが多いゆえ、寝る客・聞かない客らは目障りなことこの上なしとも思うし、それを指摘や注意ではなく己が話術だけでこちらに振り向かせたいという変なプライドもあったりする。何かを期待しているわけではない客混じりの決して多くないステージで、ぴろきの「反応が薄いことをきちんとそしてしつこくいじる」「いつの間にか手拍子を誘う」流れや、松之丞の「自分の集中を阻害するものをきちんと整理する」「それを軽く笑いにする」流れに注目も納得も関心もしたのはその普段の立場というやつのせいも多分にある。なんというか態度やマナーの悪い客を別の客が憤慨したりするのは間違っちゃいないけど野暮なことかもしれない、と常々思っている。それが助かると思っている芸人もいるかもしれないけどね。芸以外の巻き込みに時間をかけるなんていうのは本質的じゃないけどやっぱりそれも見せ場だと、だからわざわざライブに生に足を運ぶんだと私は思ったりするわけ。大分余談だね、これは。

枕ではなく本編に入ってからも2度ほど話をとめて客に「タブー」を認識させるという異常事態を笑いに変えた1部
ただその1部の客をきちんと腐してから本題に入った2部
ああレア松之丞。 落語で散々聞いていて松之丞のはなかなか聞く機会のなかった中村仲蔵はやっと聞けた、を上回る「自分の高評価を自覚するタイミング」の違いで物語にこんなに差が出るのかという感動が得られたので◎ 後客席の環境が劣悪だった(と松之丞に自覚させられた)せいか、より集中して聞けたからラッキー。
金の助がやっていた子ほめ。金明竹等々と同様、アンジャッシュ落語って勝手に思ってる。要するにすれ違いがおかしみに発展するやつ。アンジャッシュのネタよりもアンジャッシュ落語が好きなの、私。
2部とも30分のウクレレ漫談で、ただネタは1節しかかぶらずもう見事と言うしかない。R-1予選で数分から寄席で15分くらいは観たことあったけど彼は30分でも40分でも観ていたい
明らかにぴろきが好きで何をやってもハマっていたお姉さん、会が終わった後少し話したパチンコで勝ったから友達を連れてきたという70過ぎのお姉さんがかなりの講談・浪曲・浪花節好きで松之丞を「かわいい顔した坊ちゃんだけど本当に上手」と言い放っていたこと・・・ほんと色んな人が客席にいたな、こういう機会をまた持ちたいなと思いつつもほんと私はすぐ慣れたと勘違いするし、そしたら会をえらそうに選ぶようになるし・・・・うん、台風が呼んでくれた奇跡の会とでもしておこう。

で、私はまだ講談とは何か掴みきるのはおろか一端をつまんでもいない。講談をやっているときの松之丞はこの上なく格好いいし何度でも観たくなるが、好きな松之丞はと問われたら「ラジオの時の松之丞」と当分答えると思う。

*1:これまたステキな噺家さんが出る会だったのだ

*2:ま、東京若手漫才師を観に行く予定だった

*3:情報を整理せずにそう解釈しているが多分合ってるよな

*4:2017年3月

*5:CMで流れていた小さな女の子からのメール「・・・どうしてそんなに太っているのですか・・・」は相当面白く相当記憶に残っているのだがじゃあその番組を聞いてみようとはならなかったのだ

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